今度はNOAH RSを引っさげて乗鞍周辺へ行ってきた話 Part2
10/4(日)。
朝7:00起床。
この日の予定は白骨温泉に泊まること。
それ以外は全く決まっていない…。
乗鞍から南に向かえば野麦峠、東に向かえば(遠いけど)美ヶ原、そして北に向かえば上高地…。
迷った挙げ句出した答えは…上高地。
予定が決まらないまま迎えた朝。
なぜこんな事になったかといえば、本当はこの日に乗鞍に登る予定だったから。
当初は10/3(土)にゆっくり家を出て乗鞍の宿で1泊し、10/4(日)に乗鞍へ上り白骨温泉でまた1泊、10/5(月)にのんびり家までドライブ、というプランでした。
ただ、10/4(日)の天気が崩れそうという予報だったため急遽予定を変更し、1日前倒しで乗鞍を登ってしまったわけでした。(そのおかげでいい経験もできたので結果オーライではある。)
この天気の意地の悪さときたら…。
宿のチェックアウトを済ませ車に乗り込む。
天気は雨がパラパラと降ったりやんだり。土砂降りにはならなそう。
まずは拠点の白骨温泉へ向かいます。
乗鞍観光センターの交差点から県道300号へ入り、荒れた峠道をドライブ。
一路、白骨温泉公衆トイレの駐車場を目指します。
着きました。
早速自転車を組み立てます。
組みました。
フロントホイールを予備のフルクラム レーシング3、リアはFFWD F4Rです。
最近車で自転車を積んでいくときは1本予備のホイールを持っていくことにしています。
万が一メインホイールが使えなかった場合や、急遽雨予報に変わってアルミのブレーキ性能が必要なった場合を想定しています。
「持ってくればよかった…」なシチュエーションが起きて走れなかったら悲しいですからね。
今日のルートは白骨温泉を拠点に県道300号と国道158号を往復する上高地までの20km。
たった20kmである。ですが、難易度はそこそこ高め。
コースの特徴としては、県道300号が平均勾配8~10%の急勾配セクション。
国道158号は平均勾配6~8%で複数のトンネルがあります。
急勾配ダウンヒルかつ雨予報のため、予備で持ってきたレーシング3が役に立ちました。
ウェアも雨を想定し、防寒着兼用でモンベルのバーサライトジャケットを装備。
あと末端が冷えるため、GripGrabのシューズカバーを初投入。
モデルはGripGrab - RACEAQUA X WATERPROOF MTB/CX SHOE COVER。
名前の通り、もともとはSPDシューズ用に用意したものです。
一応、SPD-SLシューズでも使用はできました。
が、記事が伸びにくく装着は結構大変です。
またLARGEサイズを購入しましたが、MAVICのサイズ43だとキッツキツでした。
機能的な麺としては、真冬でなければ十分な保温性と土砂降りでなければ問題のない防水性があり、春・秋に丁度いい感じです。
ちなみにガチな防水性を期待するならヴェロトーゼ安定です。
そんな感じで装備を整え、9:30にスタート。
まずは初っ端県道300号の急勾配ダウンヒル。
傍を流れる湯川と木々の景色をじっくり見たいところですが、ブレーキングに集中しないと吹っ飛んでいきそうです。
ダウンヒルの途中、2箇所洞門があるのでライトはつけっぱなしが吉。
県道300号を下り終え、国道158号に合流。
上高地方面を目指します。
上高地までの11km、ひたすら登ります。
ちなみに2020年10月現在、国道158号の安房峠は通行止めとなっています。
理由は7月の豪雨災害によるもの。
乗鞍も畳平から岐阜側に降りる道が通行止めになっていました。
県道300号との合流地点から上高地入り口まではトンネルが9箇所もあります。
内部はほとんど証明がなく真っ暗。
しかも路面はところどころ地下水が染み出しておりスリッピー。
極めつけは進行方向に沿って路面に溝が掘られています。
自動車のタイヤ幅であれば斜面のカーブで滑り止めになるかもしれませんが、自転車にとっては容易にグリップを失います。
もしここを走る予定がある方、特に下ってくる予定の方は、20km/hに抑えることをおすすめします。
県道300号から国道158号に入って5つ目のトンネル。
清水隧道(しみずずいどう)、と言うらしいです。
トンネルに入ろうとしたとき、道路左側の脇道が進めそうだったので行ってみると…
温泉が湧いていました♨
自然に湧いているものなのか、配管から吹き出ているのかは不明ですが、アツアツの熱湯が勢いよく出ておりあたりを湯気で覆っています。
周囲に硫化水素のにおいも漂っており長居は危険と判断し、写真を撮ってすぐに退散。
ちなみにこのときは熱湯で道が阻まれていましたが、どうやらこの先は清水隧道の旧道となっているようで、この先へ進んだときの様子をレポートしてくれているHPがありました(道路レポート 国道158号旧道 沢渡~中ノ湯 第5回)。
国道158号に戻り、引き続きトンネルを超えていきます。
梓川に沿ったこの道は、先程の清水隧道のほかにも温泉が湧いている様子が見られます。
湯気の立ち上る場所や溶け出した鉄分で赤く染まった斜面など、温泉に恵まれた地域であること、火山が生きていることを体感することができます。
走り始めて10km。
上高地の入り口、釜トンネルに到着しました。
メインイベントはここからです。
トンネルの中を見てみましょう。
距離1.3km。平均勾配11%。
ここまでもそこそこ登って来ましたが、それらとは一線を画す傾斜。
ロードレース中継を見ていると感覚が狂いますが、一般人にとっては十分脅威な登坂です。
目の前のプレッシャーを放つ登坂をしばし眺めたのち、いよいよ突入。
路面はかなり綺麗に舗装されており、また照明もかなり多く設置されているため比較的安全に走ることができます。
一般車は入れず観光バスと許可車両のみのため交通量が少ないのもありがたい。
登坂はと言うと、GPSがロストするため正確な傾斜は不明ですが、ほぼ傾斜が変わらなかったことから本当にずっと11%が続いているんだと思います。
つまりほぼ脚を休めるポイントは無いということ。ひたすら忍耐です。
ただ路肩の待避所があるので、どうしてもやばくなったらそこを使うのも手です。
というわけでインナーローとダンシングを駆使してなんとか釜トンネルを脱出。
たった1kmがとんでもなく長く感じました。
トンネルを抜けた先に見えたのは、写真でしか見たことがなかったあのカール地形。
涸沢カールのお出迎えです。
そのまま1本道を暫く進むと、木々の間から水面が見え隠れ。
視界がひらけると大正池に到着。
風一つ無い、透き通った緑の水面。
昨年走った紀伊半島の経験からすると、こういう色合いは地中の石灰が溶け出したことによるものかと思いますが、本当のところはどうなんでしょう。
大正池を後にしまた森の中を数km走ると、今日の目的地で折り返し地点、上高地バスターミナルに到着。
ちなみに自転車はこのバスターミナルのもう少し手前までしか入れません。
釜トンネルの入り口の警備員さんからもその旨の注意がありました。
所定の駐輪場に自転車をとめたら、なにはともあれ食事です。
朝食を食べそこねたので、身体がカロリーを欲しています。
バスターミナルの2階の食堂へ直行します。
長野といえばそう、山賊焼き。
鳥のパリッとした皮とボリュームMAXの1枚肉。
レモンを絞って一切れ、マヨネーズを付けてまた一切れ。
肉の旨味と食感がご飯の消費を加速させ、その勢いに味噌汁と野沢菜が巻き込まれる。
ムシャムシャモグモグあっという間の昼ごはん。満腹感が気持ちいい。
山賊焼きでしっかりお腹が膨れたところで散策を開始。
カラマツの遊歩道に沿ってさらに奥へ進みます。
見えてくるのは河童橋と涸沢カール。
どうやら上高地の紅葉は10月の1週目では早かった模様。
これがもし紅葉ドンピシャのタイミングだったらどんな風景だったんだろう。
それにしても、上高地から見えるこのカール地形といい、メインの道から外れた先のどん詰まりという立地といい、RPGだったら確実に大きなイベントが隠されているとしか思えない。
ぜひ山道具を揃えてあの領域に足を踏み入れてみたいものである。
さて、しばらく河童橋のあたりをぶらぶらしていると雨脚が強くなってきたので帰ることに。
とその前に売店で見かけた甘味を1つ。
河童焼き。たい焼きの河童版。甘い。
注意書きまで河童。やめよう違法充電。
ダウンヒルの冷えに備え、シューズカバーとレインウェアをつけて出発。
帰り際の大正池。
この青さはたとえ数時間前に見たばかりだとしても立ち止まらずにはいられない。
水が綺麗な場所大好きです。
さて、釜トンネルを下ります。
勾配11%のダウンヒルは急激にスピードが増します怖い怖い。
ブレーキングを考慮してフロントをレーシング3にしてきて正解でした。
この先も、行きに通ったトンネルを一気に下っていきます。
前述したとおり、トンネル内には進行方向に沿って滑り止めの溝が掘られているトンネルが有り、加えて路面も湿っていると来ている。
あぁ、ダウンヒルのときだけディスクブレーキが欲しい・・・。
もうすぐ下りも終える、というときに前方に何やら動くものが。
おさる。
それも10匹はいる。走る車も止まったり避けたり。
こちらに寄ってくる様子はありませんが、変に刺激して襲われたら敵いません。
距離をとっておさるたちを避けていきます。
ここから4km、傾斜10%オーバーの坂を踏み抜きます。
序盤1kmほどは傾斜はそれほどでもなく。
今のうちに景色を楽しんでいきます。
あと2.6km、これより上り坂が続く。
この坂を上れば温泉…、この坂を上れば温泉…、この坂を上れば温泉…。
ひとっ風呂浴びて一杯飲んで夕食を食うんだ…。
洞門の中もとてつもない傾斜。
路肩には砂利が溜まっており、ダンシングでリアが滑ってしまいます。
辛いですが、シッティングで後ろに荷重をかけながら登ります。
ヒィ…ヒィ…。なんとかここまで戻ってきました。
あのS字コーナーを上りきれば、車を停めた駐車場までもうすぐです。
ギリギリ残っている脚をすべて使い切って上りきります。
だぁぁようやく戻ってきました。
たった20kmぽっちの往復なのになんという脚の疲労感。
白骨温泉おそるべし。良い子はエンジン付きの乗り物で来よう。
悪い子は自転車で来よう。
無事白骨温泉⇔上高地の往復を終え、一休みしたのち自転車を分解。
今日の宿へ向かいます。
今日泊まるのは「丸永旅館」さん。
数ある白骨温泉の宿の中でも、おそらく乗鞍から最も近い位置にある宿です。
駐車場は玄関の目の前にあります。
入ってすぐ、女将さんが出迎えてくれチェックインの手続き。
昨今のコロナによる宿事情や、GOTOトラベルクーポンの使えるお店が白骨温泉近辺にないことなど、しばし世間話。とってもフレンドリー。
そして待合スペースの雰囲気の良さ。暖炉がありますよ暖炉。
さて、お部屋に案内していただき荷物を置きます。
うーん畳の部屋、最高です。落ち着く。
着替えを持ってさっそく温泉・・・と行きたいところですが、まだ日が昇っている時間なので近くを散策しに行きます。
脚の疲労はなんか回復してました。よしよし。
カメラと携帯と財布を持ち、女将さんに外出する旨を連絡。
近くにお土産屋さんがあるか聞くと、なんと上高地へ行く際に車を停めていた場所の近くとのこと。宿来る前に買ってくればよかった(ちゃんと調べておけば・・・)。
まぁ景色を見ながら散歩ということでぶらぶら歩き出します。
まだまだ緑の多い森の中を30分ほど歩き、白骨温泉の中心地へ。
野生動物との遭遇・・・といったイベントも特に無く、まぁのんびりぼんやりと木々を眺めながらの森林浴でした。
白骨齋藤売店さんで(確か)とち餅を買い、またもと来た道をぶらぶら。
また30分ほどかけて宿に戻ります。んっ、またじわじわと脚に疲労が溜まってきたか。
散歩から帰ってきても夕食までまだ時間があったので温泉へ。
脱衣所から風呂場へ入ると、ヒノキのいい香りが立ち込めていました。
あとで女将さんに聞いたところ、ほんのつい最近新しくしたばかりだったとか。
湯舟の温度はまさに適温、硫黄の香りがヒノキと合わさって実に入り心地がよいお風呂でした。
温泉の後は夕食へ。腹がペコちゃんで待ちきれない。
日本酒が…しみわたる…。いつぶりの飲酒だろう。
鯉の刺身と煮つけ、そしてイワナの塩焼き。
山の幸が日本酒を一段と美味くさせる。
満足。圧倒的満足。走った距離は短くても、気分的には実に満たされました。
体もほかほか、おなかもいっぱい、お酒も入っていい感じに眠気がやってきたので、ぼんやりテレビを見ながら就寝。旅先のローカル番組ってのもいいですねぇ…zzz。
*****
10/5。
次の日からはまた仕事。余裕をもって帰路につきます。
朝食を食べ、女将さんに挨拶をしてチェックアウト。
車に乗り込み我が家を目指します。
白骨温泉~乗鞍観光センターまでの山道を、EJ25をうならせながら登っていきます。
乗鞍の大自然と体にほんのり残った温泉の香りを感じながら、山を下り、松本の市街地を抜けながら高速に乗ります。
途中、諏訪湖SAに寄り、おやきで補給。うまぁい。
お腹を満たしたところで中央道~首都高~常磐道を抜けてつくばへ帰ります。
今回は本当に久しぶりの自転車ひとり旅行。
コロナだったり私生活だったり仕事だったり、いろいろなことが重なりめっきり乗る機会が減ってしまいましたが、こうやって遠くに足を運び体を動かすと本当に良いリフレッシュになります。
身の回りの環境が大きく変わり以前みたいに気軽に遠出ができなくはなりましたが、生活の中から自転車要素はなくすこと無く、たまにこうやって遠出したいものです。
おわり。