ハンドメイドバイシクル展2022に行ってきた話

1/23(土)。

東京都千代田区科学技術館

ハンドメイドバイシクル展2022に参加してきました。

 

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いまやマスプロメーカーによるカーボンフレームが主流となっている現代において、クロモリやチタン、ステンレスといった金属パイプを使いオーナー一人ひとりの用途・身体的特徴に合わせて制作されるハンドメイドの自転車という世界があります。

 

はじめてハンドメイドのオーダーフレームを意識したのは比較的最近で、ここ3~4年。

SNSの発達により、ブルベやキャノンボール界隈の人たちに興味が湧いてきたなか、一部の人達が超長距離を走り抜くために、目的達成のため自分だけのオンリーワンフレームをオーダーしているのが目に止まりました。

世界に1台の自分だけのフレームがある所有欲、そしてそのバイクを駆り超長距離を走り抜けるそのスタイル。そういう世界があることに非常に興味が湧き、次第に情報を集めていくようになりました。

 

また、もともとあのクラシックなホリゾンタルフレームに憧れを持っていたこともあり、今のパナモリのオーダーに至った経緯があります。

 

そんなこんなで、前々から気になっていたハンドメイドバイシクル展に来てみました。

新型コロナウィルスの影響でいろんなイベント中止の例にもれず、昨年は実際の展示はなくオンラインという形で実施され、2年ぶりの開催です。

なお参加するのは初めて。楽しみ楽しみ。

 

***

 

最寄りの常磐線ひたち野うしく駅から北千住で乗り換え、地下鉄を使い竹橋で下車。

皇居外苑北の丸公園へ看板を頼りに10分程度歩くと、科学技術館へ到着。

小学生の頃、親と遊びに来たっけなぁ。

 

入り口では、

・検温

・消毒

不織布マスクの着用チェック

が行われ、感染予防が行われています。不織布マスクのみ許可、ウレタンマスクはダメという制限があり、感染リスクを少しでも抑えようとしていました。自転車界隈じゃマージナルゲインという言葉がありますからね。

 

というわけで9:30会場入り。

コロナウィルスの第6波が始まっていることもあり、人の少ない午前中のみ参加するようにしました。

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入り口から入ってまず目に入るのが、昭和の時代に競技で使用されたロードレーサーとピストバイク。1964年の東京オリンピックの予備車として用意されたマシンで、ダウンチューブにはエヴァレストと書いてあります。

 

 

 

ぐるっと廻るとトラックレーサーが置いてありました。

昭和20年代と、上記のロードレーサーより更に古いものです。

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リムは木製だし、リアのブレーキの機構はなんというかものすごい力技。

今とは比べ物にならないほど原始的な設計ですが、こういう過去の蓄積があるからこそ現代の進化があるだなと思います。

でも、やはりこのホリゾンタルのフレームは美しい。

こういった歴史的な一品を目にすることができるのはなかなか貴重です。

 

 

 

入り口すぐ右手にはマツダ自転車工場のLEVEL。

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女性向けに設計されたバイクが展示されていました。
オーダーフレームであれば、女性であってもホリゾンタルフレームに乗る夢が叶えられますね。

ホイールは650Cとのことで、MAVICのオープンプロですかね。

なにげにアルテグラDi2仕様でした。ガチだ。

 

 

続いてシルクサイクルズ。

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なんだこのダウンチューブは…。これで本当に走ることができるのか。

会場内でも随一の変わり種自転車です。一体どんな乗り心地なんだろう。

ダウンチューブが紐式だから振動吸収性がものすごくいいんだろうか。

 

 

 

お隣の山音製輪所ブースへ。

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すごく旅情あふれるバイクが展示されていました。

小学5年生でお父さんと日本縦断を成し遂げたバイクです。

フロントバッグに各地のピンバッジ、いいですねぇ。ロマン満載です。

ウチも親子で自転車に乗る機会が早く来て欲しいです。

シートチューブについたダブルレバーはBB付近に設置された滑車のような機会に伸びているようでした。フロントライト用のダイナモかな?

 

 

ランドナーで有名なトーエイのブースに来ました。

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このアイディア、いいですね。

ベルの位置って意外と悩むものです。自転車のシルエットを崩さず、それでいて必要なときは正しく鳴らせる位置。

パナモリで試してみようか。

 

 

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パット見はちょっとおしゃれなスタッガードフレーム。

しかし細部を見てみると・・・猫を模したあしらいがそこかしこに。

よほど猫好きなオーナーさんなんでしょう。愛が強すぎて実に良いです。

 

 

 

チタンバイクが光るWELD ONE。

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WELD ONEのバイクにはどのモデルにもOGRE(オーガ、鬼)の名がついています。

フレームのみならずディスクローターにもチタン特有の焼入れがあったり、とにかく男心を惹きつけるバイクです。

チタンが嫌いな男なんていません!

 

 

シルバーとグリーンのカラーリングが映えるドバッツ。

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塗装が大変綺麗で見とれていました。

1枚目のラグ組のモデルはクラシックな雰囲気がたまりません。2枚目・3枚目はフィレット溶接によるなめらかな仕上げとENVEのディスク用フォーク、まさしくモダンクロモリというモデルですごく好きです。

ディスククロモリ、いいなぁ。

 

 

ドバッツブースの裏側にはバイシクルわたなべが制作する琥珀シリース。

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このバイシクルわたなべさん、静岡県静岡市東静岡駅近くにお店を構えているようです。私の地元が静岡県で、通っていた高校も東静岡駅から比較的近くだったので、ショップの説明を見たとき驚きました。

1枚目・2枚目ともに僅かにスローピングしたトップチューブを持っています。クロモリと言ったらホリゾンタルと思っていましたが、これくらいのスローピングはむしろ好みかもしれません。

3枚目の黒い艶のあるフレームに感じで金色のロゴ。日本刀のような美しさです。よくよく見るとこれディスクロードなんですね。

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バイシクルわたなべの右隣はBYOBというブランドのブース。

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なんと溶接を行わず接着剤を使って組み上げるフレームを開発しているとのこと。

フレーム製作にあたりもっともハードルが高いのが溶接の設備を整えることで、この接着剤方式であれば一般家庭でもフレームを組み上げることができるのだとか。

古い表現を使いますが、夢ひろがりんぐ。

なお、今はディスクロードのモデルのみラインナップしているとのこと。

 

 

BYOBのブースから振り向くと、エクイリブリウムのブースへ。

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このブランドはチタンバイクのイメージが強いですね。

太めのチューブを使っていてマッシブな印象を受けます。かっこいい。

このヘッドバッジの意匠がたまらなくかっこいい。均衡のブランド名と実によくマッチしていると思います。

 

 

大御所、今野製作所のケルビム。

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オーダーフレームと言ったら自分は真っ先にケルビムを思い浮かべます。

2枚目のPistradaという自転車、ステーの集合部分にレバーがあります。

最初はシフト関係かと思ったのですが、ディレーラーは無くギアは1枚しかありません。

レバーから伸びたワイヤーはエンド部分まで伸びていたので、ホイールの着脱に関係する機構でしょうか。聞いてみればよかった。

 

 

第2展示室をあとにし、第3展示室へ入るとエンメアッカのブースが。

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展示されていた自転車は1台だけでしたが、その1台に自分は釘付けになりました。

子ども用のクロモリバイクです。思わず「可愛い自転車ですね」と声をかけてしまいました。(おそらくビルダーの盛合さん。)

ホイールは20インチで、リアディレーラーは付いていますが変速用ではなくホイールを外しやすくするためのものとのことでした。

うちももうすぐ2歳になる息子がいるので、子どもにオーダーフレームを…とついつい考えてしまいます。

 

 

そして今回一番見たかったマッキサイクルズ。

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日本縦断ギネス記録を獲得したバイクが展示されていました。すごい塗装。

ブレーキはリムブレーキで、機械式のアルテグラでした。曰く、ディスクブレーキで起こるローターの歪みや電動変速の電子機器故障による走行不可を回避するため、とのことでした。

なんとしてでも走り切ることを目的とした自転車であり、最新技術をあえて使わないという選択肢の可能性を示してくれているように感じました。

一方で、ゴキソのホイールとレッドシフトのサスペンションステムといった飛び道具も装備されています。あと写真を取りそこねたのですが、すごいサドルが装備されていました。

実は今住んでいる場所からほど近いショップで、マッキサイクルズのオーダーができることを知り、興味が湧いていました。

短い時間ですがビルダーの植田さんともオーダーについてお話ができてよかったです。

 

 

ラバネロブースに来ました。

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昨年のオンラインハンドメイドバイシクル展の動画で紹介されていた、黄色いカラーリングのマシン。

クロモリですが太いパイプを使っていますね。デダチャイのパイプだそうです。

後ろの説明に、用途として「レースからキャノンボールまで」と書いてありました。

ラバネロを駆るキャノンボーラー、見てみたいですね。

 

 

 

アマンダスポーツのブースに来ました。

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ここもオーダーフレームといったらまず思い浮かぶブランドです。

展示されていたバイクは、木製のリム&スポーク、ダブルディスクのタンデムバイクと、他のブースとは一味違ったラインナップ。

タンデムバイクはもともと群馬のハンドメイドブランドRAIZIN WORKSのものですね。

ダブルディスクのキャリパーは最近話題のグロータックEQUAL。

クランクはSRMのパワーメーター付きでチェーンリングはなんと61t。

 

***

 

ほかにも日東やワンバイエスといったパーツメーカーへ。

ワンバイエスでは1インチのカーボンフォークを持たせてもらえ、ケルビムで良く使われていること、1インチのディスクブレーキ対応は相当剛性と重量を上げないと実現が難しいことなどを教えていただけました。

 

いろんなブースをぐるぐるしていたところですが、会場の人数も結構増えてきたため、11:30ごろには撤退。

トークショーも見たかったところですが、感染者数も増えてきている今日このごろ、家でYoutubeアーカイブを見ることにしました。

 

初めてハンドメイドバイシクル展に参加しましたが、実車を見ながら直にビルダーやパーツメーカーの方と話ができ、展示されたバイクやパーツが生まれた経緯やエピソードを聞くことができる大変貴重な機会でした。

 

フレームオーダー欲がふつふつと湧いてきている今日このごろ。

パーツ構成やデザインを頭で考えているだけでも楽しいところですが、こうやって実際に作られた自転車を目にすると、妄想レベルだったプランを考え直すよい機会になったなと思います。

 

 

 

 

 

 

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あ、帰りに竹橋駅のレストラン街で肉を食って帰りました。
おいしかったです。

 

 

 

おわり。