秘境と名高い紀伊半島を巡ってきた話 Part.2
9/14(土)。
秘境・紀伊半島に潜入して2日目。
宿の窓から覗く風景は雲で濡れた針葉樹と緑青の川。
6:00起床。
前日に洗濯したウェアが乾いていることを確認し、それらを掴んで朝風呂へ。
体を洗い、湯船に使ってため息一発。
肩まで温泉に浸かり、頭と体を目覚めさせるため体温を上げていきます。
湯上がりはしっかり水分補給。忘れずに。
朝食をとった後、チェックアウトを済ませて荷物を搭載。
本ツーリングで初めて導入したFAIRWEATHERのハンドルバーバッグ、フロントタイヤに擦らないようストラップの調整にやや難儀。
前日の雨ツーリングでチェーンオイルがすっかり落ちてしまったので、ツールケースに保険として入れていたオイル入り醤油差しで注油。持っててよかった。
8:00を回ったくらいに宿を出発。
まずは熊野川に沿って30kmほど山を下ります。
この川沿いのコース、熊野川が綺麗のなんのって…。
独特な緑青の水面と白い川岸。もう川沿いはほとんどがシャッターポイントです。
秘境ポイントぐんぐん↑↑。
国道168号、川湯温泉からの30kmの山下りはあっという間でした。
緑豊かな山道がトンネルに差し掛かり、抜けた先はガラッと変わって新宮市街に。
そのまま交差点を右折し、国道42号を南下する海沿いルートへ。
後になって「失敗したな~」と思ったことですが、新宮市街の国道168号と国道42号の交差点を北上してすぐのところに、「熊野速玉大社」がありました。
熊野三山と呼ばれる、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社のうち、本宮大社は昨日お参り済み。
熊野古道についてもっと下調べをしておけば、交差点で迷わずハンドルを左に切ることができたなぁ、と。
もし2回目があれば、ぜひ熊野三山をコンプリートしたいところ…。
走り始めて50km。
今回の目的地の一つ、太地町に到着。
ここはクジラやイルカ漁で栄えている町で、至るところにクジラやイルカを模したオブジェクトが点在しています。
個人的にクジラやイルカ、サメなどの大型水生生物が大好きで、もうたまらなく可愛いです。
時刻は11:00。
ちょっと早いですが昼食を取ります。場所は「お食事処 しっぽ」さん。
お店の前で自転車を停めていると、お店の中から出てきたおばあちゃんから一声。
ちょっと世間話をしつつ、最後は「細いな~、ちゃんと食べ!」とお尻を叩かれたり。
さて、お店に入ってお冷をいただきメニューを眺める。
もちろん、食べる料理はくじら料理。
くじらの刺身(中央)にくじらベーコン(味噌汁裏)、さらし鯨(お冷前)の日替わりランチ800円。
新鮮なお刺身も美味しかったですが、個人的に一番のヒットだったのがさらし鯨。
甘酸っぱい酢味噌とコリコリした歯ごたえがクセになります。
これは…お酒が欲しくなるな…。
くじら料理を堪能したところで、自転車にかけていた鍵を外しスタート…
ん?
ランボー怒りのパンク修理 in 和歌山
フロントタイヤに細い木の枝が刺さっていました。
前日の雨で落ち葉や枝が増えていたので気をつけて走っていたのに…。
あとは、今回チョイスしたヴェロフレックスのコルサ。
乗り心地抜群で登坂も軽いですが、なにぶん薄い。ここは定番のグランプリ4000SⅡで来るべきだったか。
なんてことを考えながら、食事をしたしっぽさんの隣の駐車場で修理をしていると、お店のご主人と、さらにそのお父さんから「パンクですか?」と一声。
すみません、場所をお借りしちゃって…とお話しながらも、
「タイヤほっそいな~」
「今日はどこまで?」
「このあたりはキナンのチームも走りに来るよ」
と、自転車一人旅恒例の突発世間話。
車や電車ではなかなか体験できない、自転車ならではの発生イベント。
「見る」だけの観光ではなく、「話す」観光(もちろん見ず知らずの人と)ができるようになると更に旅行が楽しくなる、と感じる28歳の残暑であった。
パンク修理を終え、進路を巨大な捕鯨船へと向けます。
その先には、今回の目的地の一つ、「くじらの博物館」があります。
海の生き物好きにとって、今回のツーリングでここは絶対に外せないポイントでした。
そしてまたこの昭和感香る建て構え、実にワクワク感を煽ります。
本館に入るとまず目に入るのがクジラやイルカ、シャチの骨格標本。
我々の手のようなこのヒレの骨格、もとは自分たちと同じ陸上生物だったという痕跡。
進化のロマンですね~。
ちなみに後ろ脚は退化していますが、胎児の頃は後ろ脚があるそうですよ。
他にも、「海上に鼻を出して肺呼吸する」「おっぱいで子育てする」など、我々との共通点を再認識することができます。
そういった特徴を目にすると、なんとなく我々との親近感が湧いてきて、またさらに可愛く思えてきます。
本館を回った後は、建屋の外に出て水族館の建屋へ足を向けます。
シロナガスクジラの等身大全身骨格があります。
流石に本当の骨だと風化してしまうからか、強化プラスチックらしいです。
が、これのもとになった個体の本物の骨格模型が下関水族館にあるとのこと。
本館から水族館までの道中は、自然の入り江をつかったクジラショーコーナーがあります。が、今回はちょっと時間が合わなくて見れず…。
でも、のんびりと泳いでショーの出番を待っているゴンドウクジラたちが。
クジラたちに餌をあげられる桟橋もあります。ハナゴンドウかな?
ちびっこが近づくと、餌をくれると思って顔を出して近づいてきます。
なんという可愛さ…。
水族館へ入ってみると、まず入り口にあるのがイルカコーナー。
なんと、アルビノのバンドウイルカが泳いでいます。すごくきれい!
公式HPの資料によると、アルビノのバンドウイルカの飼育例は世界で2例目とのこと。
日本ではここでしか見れないですよ!!すげー!
群れで仲良く泳いでいる様子は大変微笑ましいですね~。
ドチザメ。
スラッとした体に縞模様がおしゃれ。目が可愛いですね。
うごめくゴンズイ。
くじらの博物館、じつに楽しかった…。
正直なところ、展示の解説をもっとじっくり読んで、クジラショーも撮って、お茶で一服して、半日くらい時間を掛けたかった…。
名残惜しくも自転車に乗り、再び走り出そうとして見つけたのが…
ゴンドウクジラのポスト
イルカではなくクジラを持ってくるところがもうさすがですよ。
とてつもなく可愛い。
本当に最後の最後までいいものが見れました。来てよかった…。
ルートを再び国道42号に戻します。
っと、見つけたのが「道の駅たいじ」。ロゴが可愛すぎるぞ…。
このロゴに惹かれたの7割、パンクした前輪の空気を入れ直せないかという期待3割でちょっと寄り道。
中をぶらっとしたあとにサービスカウンターで空気入れがあるか聞いてみると幸いにも借りることができました。
が、ポンプヘッドのパッキンが壊れており、空気が6bar以上入らず…。
若干心配では有りつつも、修理直後よりは空気が入っているため良しとします。
道の駅たいじを出て10kmほど走ると、串本町へ突入。
それと同時に空には青空が。
海沿いに出ると日傘してきたおかげで海の青さが際立ってきます。
それにしても風が強い!!
幸いなことにやや追い風気味ですが、時折猛烈な横風に襲われます。
海もやや荒れ気味。怖い怖い。
走り始めてから72km。
「道の駅くしもと橋杭岩」に到着。
天気が晴れてからというものの気温が一気に上がり体力の消耗が早い。
着いてまず目に入るのが、浅瀬の先に一直線上に立ち並んだ奇岩。
橋の土台のように見えることから、橋杭岩(はしぐいいわ)と呼ぶそうです。
火山活動で泥岩の層に溶岩が流れ込んだ後、海の浸食で泥岩部分が取り除かれたことでできたそうな。地質・地形マニア好きそう。
道の駅に来たならご当地ドリンクを探すのはもはやマスト。
紀州産の”じゃばら”を使ったじゃき払いドリンクで景気づけ。
なお、じゃばらは和歌山県原産の柑橘類で花粉症に効くという効果があるらしい。
ほんとぉ?
橋杭岩を眺めながら休憩したあとは、そのまま串本町の町中を抜け潮岬へ。
途中、約800mほどの7~10%登坂が妙にきつい。
時折カニが道路を横断していたりします。注意注意。
潮岬に来た理由はこちら。
本 州 最 南 端
紀伊半島ツーリングの定番スポットではあるものの、やはり外せないのがここ。
ツーリング好きにとっては「最高地点」と並んで来ずにはいられないのが「再◯端」というポイント。
やっぱり遠くまで来たということの証としてはこれ以上にないインパクトがあります。
本州の東西南北の最先端コンプリート、してみたいですねぇ。
本州最南端から引き続き反時計回りで走り、潮岬を一周します。
途中、苗我島と大島にかかる、くしもと大橋があります。
この橋を渡った先の大島にもいくつかの宿があり、そこに泊まろうと思っていたのですが、残念ながら今回は空いておらず…。
いや、実際には空いていたのですが、他の宿と比較しているうちに先を越されてしまいました。
ということで今回選んだ宿は、「BAYSIDE INN 串本館」さん。
基本的にこの宿にはスタッフは常駐しておらず、身の回りのことは自分で、というスタンスとなっています。
この宿のいいところは、屋内に自転車スペースが設けられているところ!!
ばらして輪行袋に入れる手間が省けますし、しかも空気入れやメンテナンスキットもおいてあるという充実さ。
素晴らしい…。自転車乗りはここを拠点にするべきだ…。
シャワーを浴び、ウェアを洗濯をしてひと休憩したら日も暮れてきたので夕食へ。
ゆうやけきれい。
今回入ったお店は「料理 萬口」さん。
近所の食事処を探していたとき、「かつを茶漬け」という単語が目に入り即決。
串本町というロケーションを考えたら絶対魚ですよ。
うまい。ごはんが秒で消える。
1杯目はカツオの刺し身をご飯に乗せてそのまま、
2杯目は刺身を載せたままお茶漬けに、
3杯目はカツオと卵のTKG。
これがこのお店のかつを茶漬けの食べ方らしいです。
そして刺し身・お茶漬けに煮付けとお吸い物がついている。贅沢だぁ。
本州最南端の町でカツオを堪能した後は、コンビニで朝食を買って帰路へ…。
とおもったら、どうやらこの日は満月。
雲間から見えた月が大変綺麗だったので、買い物ついでに海沿いへ出て、満月の撮影にチャレンジ。
うーむ、18-135mmではこれが限界か。
夜になっても台風が通り過ぎた影響で雲が多く、撮影できるタイミングがシビア。
カメラの設定を見直したり雲から出てくるのを待ったりしながら、なんだかんだ1時間も月を眺めていました。
柄にもなく風流なことをしてしまった。
月からのマイクロウェーブをしっかり浴びたので、今度はちゃんと宿へ。
つづく。